介護の職場・施設説明

有料老人ホーム・老人保健施設・デイサービス・センター・特別養護老人ホーム・訪問介護ステーション・グループホーム

有料老人ホーム

 

 

90%以上が民間企業などが運営する、営利の老人ホームで、介護保険施設ではありません。
有料老人ホームには次の3種類があります。

 

介護付き有料老人ホーム

 

介護保険の中の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けて、ホーム内で職員が介護サービスを提供します。

 

住宅型有料老人ホーム

 

介護が必要になったら外部の事業者から訪問介護などの介護サービスを受ける。介護保険上は自宅にいるのと変わらない。

 

健康型有料老人ホーム

 

健康で自立した高齢者のためのリゾート感覚のホーム。介護が必要になったら、契約を解除して退去しなければならない。

 

「介護付き有料老人ホーム」について紹介します。

 

「介護付き」の有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けることにより介護保険を利用できることになりますが、介護報酬に加えて、入居者から「上乗せ介護サービス料」を徴収するケースがほとんどです。

 

その分、サービスが充実していたり、人員配置が介護保険施設より多めになっているところもあります。

 

入居一時金を抑えたホームは、サービス水準は介護保険施設と同等、人員配置も介護保険施設と同等で、「民間の特別養護老人ホーム」的なホームが多くなっています。

 

 

 

つまり有料老人ホームは、ホテル並みのサービスを提供する高級ホームから、介護保険施設と同等程度のサービス水準のホームまで幅があり、提供されるサービスの違いがあります。

 

そのため就職の際には、どのようなサービス方針や人員配置のホームであるかを確認することが必要です。

 

 

 

老人保健施設

 

介護老人保健施設、略して老健は、退院したがリハビリや介護・看護が必要な高齢者が自宅に戻るまでの数か月間、医療ケアと日常生活のサービスを受けるところで、病院と家庭との中間施設として誕生しました。

 

入所期間3カ月という縛りがありましたが、介護保険に移行してから縛りがゆるやかになり、2010年の平均在所日数は約329日になっています。長期入所が増え、特別養護老人ホーム(特養)との差がなくなりつつあります。

 

 

 

利用者の要介護度は高く、要介護3以上の割合が72%にもなります。

 

介護保険では入所者100人につき、介護職員25人以上が必要とされていますから、1人当たり4人程度の入所者という割合になります。

 

看護職員が入所者100人につき9人以上必要です。また、医師が常勤でなければなりません。

 

介護老人保健施設は医療法人が運営しているケースが大多数(約75%)で、病院併設というケースも多くなっています。

 

医療法人運営の施設が多いということは、社会福祉法人系の職場に比べると、医療職の発言権が大きいなど、介護職と医療職の力関係が異なる職場かもしれません。

 

 

仕事の特徴

 

入所者の食事介助、入浴介助、排泄介助、おむつ交換、着替え介助、話し相手やレクリエーション運営などを行います。

 

介護老人保健施設には医師、看護師、介護職員、ケアマネジャー、生活相談員や事務職など多岐にわたる職種が働いていますので、チームワークが要求されます。
また、24時間サービスですから多くは3交替制(早番、日勤、遅番)で、夜勤もあります。

 

デイサービス・センター

 

デイサービス(通所介護)は、おおむね午前10時頃から午後4時頃まで、在宅の高齢者を受け入れ、食事、入浴、レクリエーションや機能訓練などを提供するサービスです。

 

 

 

特別養護老人ホームなどに併設されている併設型デイと、併設されていない単独型デイがあり、それぞれ、対象を認知症高齢者に絞ったデイもあります。

 

 

 

デイサービス(通所介護)は介護保険の中でも最も利用価値が高いともいわれます。

 

それは本人と家族の両方にメリットがあることがあげられます。
本人は加齢や障害のために起こりやすい「ひきこもり」が解消され、活動が活発になり生活リズムをも生み出せることです。

 

また、健康チェックをしてくれ、お茶やおやつ、昼食、入浴ができて集団や個別のリクリエーション、趣味の活動が行えます。
家族にとっては介護が必要な人を日中預かってもらえ、在宅介護の負担が軽減されます。在宅介護では介護者にとって深刻な負担になることもありますので、デイサービスの存在は貴重です。

 

 

仕事の特徴

 

デイサービスの利用者は要介護度1と2で6割を占め、要介護度3が2割ですので、他の介護の職場と比べれば利用者の介護度が低く、お元気です。

 

そういう意味では、介護技術にはまだ自信がないというビギナー介護職員も入って行きやすい職場ではあります。
デイサービスでは食事やレクリエーションが他のデイサービスとの差別化のポイントになります。

 

介護職員としてはレクリエーションの企画力や盛り上げなど腕の見せ所です。

 

人を楽しませるサービス精神旺盛な人は、まさにデイサービスの職場にうってつけの人材になるでしょう。

 

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

 

特別養護老人ホーム、略して特養は、身体や精神に障害などがあって、家庭での介護が難しい高齢者が入所する施設。

 

介護保険制度上は介護老人福祉施設という。

 

入所者にとっては生活の場であり、終の棲家となる。

 

特養の退所者の6割以上が死亡による退所で、3割弱が医療機関への入院になっています。
利用者の要介護度は高く、要介護3以上の割合が88.1%にもなります。

 

介護保険では入所者100人につき、介護職員31人以上が必要とされていますから、1人当たり3人程度の入所者という割合になります。

 

 

 

仕事の特徴

 

入所者の食事介助、入浴介助、排泄介助、おむつ交換、着替え介助、話し相手やレクリエーション運営などを行います。

 

特別養護老人ホームには医師、看護師、介護職員、ケアマネジャー、生活相談員や事務職など多岐にわたる職種が働いていますので、チームワークが要求されます。
また、24時間サービスですから多くは3交替制(早番、日勤、遅番)で、夜勤もあります。

 

 

 

訪問介護ステーション

 

介護を必要とする高齢者が住み慣れた自宅で安心して過ごせるように、介護福祉士やホームヘルパーが訪問し、介護を提供する事業所です。提供する介護は、身体介護と家事援助で下記の通り多岐に渡ります。

 

身体介護

 

排泄介助/食事介助/特段の専門的配慮をもって行う調理
清拭(全身清拭)/部分浴/全身浴/洗面等/身体整容/更衣介助
体位変換/移乗・移動介助/通院・外出介助/起床・就寝介助
服薬介助/自立生活支援のための見守り的援助

 

家事援助

 

掃除/洗濯/ベッドメイク/衣服の整理/被服の補修
一般的な調理・配下膳/買い物/薬の受け取り

 

仕事の特徴

 

訪問介護員の83.5%が非正規雇用です。

 

登録型ホームヘルパーがほとんどで、あらかじめ働きたい曜日と時間帯、仕事内容などを登録して、サービス提供責任者が割り振る利用者宅へ行き、ホームヘルプサービスを提供します。
生活支援から身体介護まで何でもでき、働ける曜日、時間帯が多ければ、仕事の依頼が入りやすいといえます。

 

しかし、働ける曜日や時間帯、スキルなどの問題から、なかなか依頼がこない場合もあります。
この訪問介護の利用者は要介護度1と2で6割を占め、要介護度3が17%ですので、他の介護の職場と比べれば比較的に利用者の介護度が低く、お元気です。

 

 

 

しかし、訪問介護では利用者宅で一人で仕事をこなせるだけの技術は必要です。

 

正社員として勤務するヘルパーは、登録ヘルパーの指導や、スケジュール管理などのデスクワークの他、 24時間巡回型の仕事を担当するケースも多く、責任が重く業務範囲が幅広いため、介護福祉士やヘルパー1級資格を取得した、ある程度経験を積んだヘルパーであることが多いようです。

 

グループホーム

 

認知症の方が小規模な生活の場で少人数(5人から9人)を単位とした共同住居の形態で、 食事の支度や掃除、洗濯などをスタッフが利用者とともに共同で行い、一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、 認知症状の進行を穏やかにし、家庭介護の負担軽減をめざす施設です。

 

 

 

2006年の改正介護保険からグループホームは「地域密着型サービス」に分類され、その地域の住民しか利用できなくなりました。対象は要支援2以上で認知症と診断された人です。

 

 

 

居室は個室で、居間、台所兼食堂、トイレ、洗面所、浴室などの共有スペースで共同生活を行います。

 

介護スタッフは入浴、排泄、食事などの日常生活の支援を行います。

 

介護スタッフはさらに、利用者の能力を維持・向上するために家事の配分を行い、利用者が買物、食事作り、配膳、洗濯、掃除などの役割を持つように配慮します。

 

こうした家庭的な雰囲気によって認知症の進行が緩和され、落ち着いた生活ができるようにしていきます。

 

利用者の介護度は要介護3以下で7割以上になり、それほど重度ではありません。

 

仕事の特徴

 

24時間サービスを提供しますので、特別養護老人ホームと同様で、交代制勤務や夜勤もあります。

 

家庭の主婦が家族のためにやっている買物、食事作り、配膳、洗濯、掃除などを、同じようにやっていただけるように支援することが大切ですから、介護の技術に加え主婦経験などの家事の経験・技術が役立つ仕事です。